なんとなく胃腸の調子が悪くて、胃腸薬を飲んでもいまひとつ解消されずに悩んでいる…そんな人のための情報です。胃の病気や不調の原因には 消化酵素 が関係しています。
胃の病気にかかりやすい日本人
日本人は、昔から胃の病気にかかりやすい体質です。例えば、厚生労働省の人口動態調査によれば、胃ガンの死亡者数はすべてのガンの中で男性は 2 位、女性は 3 位です。ここ最近は、食の欧米化により大腸ガンも急増しています。
胃ガンの死亡者数はやや減少傾向にあるといっても胃潰瘍や胃炎の治療を受けている人は年々増えているので、日本人が胃の病気にかかりやすいことに変わりはありません。ドラッグストアなどでは胃薬のコーナーは圧倒的に売り場面積が広く、日本人がいかに胃弱なのかがわかります。
さて、こうした胃の病気は、胃に潰瘍や腫瘍ができたり、胃の粘膜の表面が荒れたりするなど、原因となる異常が胃にはっきりと現れます。そのため、レントゲンや内視鏡などで検査をすれば、たいていは病気の原困が特定でき、的確な治療を行うことができます。しかし、中には胃痛、胃もたれなどの症状を訴えて検査を受けても、異常が見つからない人もいます。そして、最近ではこうした人が目立って増えているのです。これは、いったいどういうことなのでしょうか?
その原因は、現代人の食生活にあると考えられます。具体的には、量を食べすぎたり、加工食品を多く摂取することで、体内にある大切な「 酵素 」を過剰に消費してしまうのです。
酵素の働きとは? 消化酵素 と代謝酵素
酵素とは動物や植物・微生物の体内で作られている高分子の物質で、さまざまな加工物を分解したり合成したりすることを仲立ちする触媒として働きます。誰の体内でも酵素は常に働いていて、食べ物に含まれる栄養を体内で吸収しやすい形にするのも、糖や脂肪からエネルギーを作り出すのも、すべて酵素の働きによるものです。
実際、現在わかっているだけでも私たちの体内には 3000 種類以上もの酵素があり、これを「体内酵素」と呼びます。体内酵素は、その働きによって「 消化酵素 」と「 代謝酵素 」の 2 つに分けられます。そして、この 2 つの酵素の働きが、私たちの生命活動のすべてをつかさどっていると言えるでしょう。
消化酵素 は、私たちが毎日食べたものの消化・吸収を助け、栄養として取り入れやすくする働きをしています。また、代謝酵素は、消化・吸収された栄養素を利用してエネルギーの生産や筋肉・骨・ホルモン・神経伝達物質をつくるなど、さまざまな化学反応をつかさどっています。このように、人間の体内では、 消化酵素 によって消化・吸収された栄養素が、代謝酵素によって全身のさまざまな働きを作り出すという一連の作業が、延々とくり返されているのです。
酵素不足だと胃の不調以外に老化を促進させてしまう
この酵素不足が胃の不調の原因になります。胃の 消化酵素 が不足すれば、当然、食べたものの消化がスムーズに行われません。すると、食べたものが胃に長く滞留するようになり、食後に胃痛や膨満感・胃もたれといった胃の不快な症状が起こるようになるのです。それだけなく、さらに、 消化酵素 が不足して消化に時間がかかるようになると、代謝酵素まで消化活動に利用されるようになります。
私たちの体内で一生の間につくられる酵素の量は限られています。この限られた量の酵素を「潜在酵素」と呼びますが、こうして潜在酵素を 消化酵素 として大量に使ってしまうと、その分、代謝酵素に回される量が減ってしまいます。そうなると、当然、代謝酵素が担っているさまざまな生命活動に悪影響が及び、老化が進んだり、病気にかかりやすくなったり、さらには寿命が短くなることも考えられます。
生の野菜や果物で酵素を摂る
つまり、検査で異常が全く見つからなかったとしても、胃の不快な症状を軽く見るのは禁物です。そこで、胃腸の不調に日頃から悩んでいる人は、体内で不足した 消化酵素 の代わりに、体の外から酵素を補うようにするとよいのです。自然の食べ物には、「食物酵素」と呼ばれる酵素が豊富に含まれています。食物酵素を体にとり入れることで、体内の酵素不足を補うことができるわけです。
ただし、酵素は熱に弱いため 48 度で死んでしまいます。つまり、食べ物を煮たり焼いたり、電子レンジで温めたりするだけで、酵素は失われてしまうのです。反対に、加熱調理をしていない食品、生で食べられる食品をとれば、食物酵素を十分にとり入れることができます。特に酵素が豊富なのは、生の野菜や果物です。酵素を効率よく補うために、毎食、生の野菜やフルーツをとるようにしましょう。